フランス在住Yuko’s Blog

私なりの視点から、フランスの日常をご紹介

陣痛に痛み止め!?モルヒネ投与からの無痛分娩|フランスでの出産記

2026年8月31日1時6分、異国の地・フランスにて娘を無事出産した。
あのお世辞にも美化しては語れない壮絶な出産からすでに1週間が経とうとしている。

最終的には15分足らずの分娩時間でスーパー安産となったのだが、そこまでは地獄の道のりだった。

もし興味がある方がいれば、長くなってしまうがぜひ読んでほしい。

  1. 自然分娩か、無痛分娩か
  2. 「陣痛には痛み止めを飲みなさい」
  3. Uber乗車拒否
  4. まさかのモルヒネ投与
  5. 「麻酔(無痛)分娩にします」
  6. 痛みゼロ、15分で終わった分娩
  7. 夫と一緒に親子完全同室の入院部屋

|自然分娩か、無痛分娩か

まず、私は自然分娩を目標に、臨月に入ってからは呼吸法や妊娠後期のトレーニングを毎日実践していた。

8割以上の人が無痛分娩(フランスでは麻酔分娩という)を選ぶフランスで、なぜ自然希望だったのかというと、単純に自然分娩の痛みを経験してみたいという興味があった。

そして、硬膜外麻酔とやらが怖かった。
全身麻酔などの経験が今までない私。
万が一、注射の打ちどころが悪く、麻痺や不随などになったらイヤだ!と、何とも確率の低いリスクを懸念していた。

日本で無痛分娩が普及しない理由として、麻酔科医の不足があるのだと思う。
独立型の産院やクリニックが多い日本と比較して、フランスでは大きな総合病院で生むのが一般的で、麻酔科医が24時間常駐しているところがほとんどだと思う。

なので私の生んだ病院では、「自然にしますか?無痛にしますか?」という質問さえなく、自分が無痛にしたいタイミングで伝えれば、処置してもらえるシステムだった。
なので臨月に入ったら麻酔科医と面談して、必要があれば申し出ますというサインをした。

自然分娩を目指して挑むものの、途中で麻酔の選択肢があることは心強かった。


|「陣痛には痛み止めを飲みなさい」

ここから、時系列でまとめていこうと思う。

8月28日(金)
昼、担当助産師の診察へ。
予定日は9月2日(フランスは約41週に設定されている)だが、その1週間前から2日に1回、助産師のモニタリング(NST)が行われるようになり、この日もいつも通り診療所へ行った。

いつも通っている近所の診療所

助産師に内診をしてもいいか?と聞かれ、ちょっとわかりにくいから角度を変えてなどと言われあれこれやっていたところ、鮮血がボタボタと多量に出てきてしまった。
助産師も少しビックリしたようすで担当の産婦人科医に連絡をしたところ、20分モニタリングして母子共に問題なければ帰っていいことに。

特に問題はなかったのだが、私は一瞬焦った。
日本のSNSでよく見る「内診グリグリされて帰宅したら少しおしるしが…!」みたいな出血レベルじゃなかったからである。

その後血は無事止まり、母子共に特に問題はなかった。
30日の朝までに生まれていなかったら、入院準備を持って出産予定の病院へモニタリングをしに行ってと指示を受けた。

夜、本格的な10分間隔の前駆陣痛が始まる。
これは土日で生まれそう…!?と、ソワソワ。
5分間隔になるときもあり、徐々に陣痛の痛みが増してきた。

もともと担当の助産師からは、
「5分間隔の陣痛が2時間続いたら、産院へ連絡して入院準備を持って行ってください」
と言われていたので、朝まで待って産院へ一度電話をしてみることに。もちろん電話は夫に依頼する。

8月29日(土)
6:30
夫が電話をしてみると、
産院の助産師
「どれくらいのレベルの痛み?話せるくらいのレベルだったらまだまだよ。もっと我慢できないくらいの痛みが30秒〜1分間隔で続いたら連絡して。」

鼻で笑われるように言われたらしい。

初産の妊婦は特に時間がかかるし、まだ全然生まれないのに早く来てもらうのがイヤなのはわかるけど、30秒〜1分間隔って、もはや分娩始まりますやん!?
うち産院まで車で30分かかるんですけど?

たしかにまだ話す余裕はあるので、もう少し我慢してみよう。

8:30
さらに痛みが増してきた。
もう一度産院に電話してと夫に依頼。
だが前回の電話で軽くあしらわれている夫にとっては「また絶対断られるのに…」と荷が重かったと思う。


「引き続き、陣痛が5分間隔で強くなってきたのと、腰の痛みがひどいんです」

産院助産師
「ドリプラン(フランスの国民的痛み止め薬)飲んだ?痛みがひどかったら薬を飲みなさい。まだ来るのは早いと思うわ。」

え…
陣痛に痛み止めを飲む?
日本では聞いたことがないぞ…?

フランス国民はだれもが持っているドリプラン

とりあえず手持ちのドリプランを飲んでみた。
1時間程度痛みがほんの少し弱まる気がするが、ほとんど効かなかった。

ここまで来院拒否されるのであれば、確実に行ける明日の朝まで待とうと覚悟を決めた。

昼間は10分以上の間隔になったりで、まだ本陣通ではない感じがしていた。
だが、陣痛よりもつらかったのが腰の痛みだ。

後からわかったのだが、赤ちゃんの位置の問題で左腰が明らかに腫れ上がるほどになっていた。
それにプラス、

陣痛中:座って骨盤前傾姿勢を取り痛みを逃す
インターバル:横になって仮眠

この繰り返しで腰をかなり痛めていたのだ。

夜には激しい痛みに変わってきており、座ったり横になったりするのができず、インターバルでは座ったままソファで仮眠を取る。
それでどんどん体力も削られていった。

ただ、明日になれば病院へ行ける…!
そこまで座ったまま仮眠生活をおくり、我慢。
どんどん激しくなる陣痛と腰痛、短くなるインターバルで、この朝までの時間が本当に長く、しんどかった。

8月30日(日)
6:00
ハイハイ日曜日が来ましたよ!
やっと病院へ行ける…!

と突然、唾液と胃液が込み上げてくる。

「ヤバい、吐く…!」
痛みが強すぎて嘔吐してしまった。
目の前で嘔吐され、吐瀉物を処理してくれる夫…心からありがとう……
もう、陣痛ってつらすぎる……!

8:00
産院に電話。


「日曜日の朝までに生まれなかったらモニタリングで病院へ行ってと言われてるので、これから向かってもいいですか?
今朝は痛みが強すぎて嘔吐してしまいました。」

産院の助産師
「いいけど、帰ってもらう場合もあるわよ。」

つくづくスパルタだ…
意地でも帰されないよう、病院に到着したらリアクションをオーバーにしていこうと決意←
いや、本当に痛いんだけどね。


|Uber乗車拒否

陣痛と陣痛のあいだのインターバルで、準備してあった入院用の荷物の仕上げをし、タイミングを伝えて夫が車の手配をする流れに。

フランスには、日本の陣痛タクシーなる便利なものはもちろんない。

産院は、私の家から車で30分。

私たちは車を持っていないので、Uberに頼るしかなかった。
タクシー配車が無難だが、なんせ出産はいつのタイミングか予測できない。日本のように深夜でも電話受付してくれるようなタクシー会社もなければ、救急車を呼んでも「自分で行った方が速い」と断られる始末だ。

Uberは深夜でもつかまりやすく、タクシーよりかなり割安で、質の高いドライバーも多い。
だが、陣痛でハァハァいってるような緊急の客を乗せてくれるドライバーがいるのかは俄然不安だった。

なので、いったんつかまえたドライバーにメッセージで事情を話して事前に確認することにした。
一人目からは早速の乗車拒否。
自信を無くす私たち夫婦…

言わないでしれっと乗った方がいいんじゃないか?
でも途中で降ろされるようなことがあったら絶対無理!理解してくれる人もいるはず!

そう願って依頼した二人目のドライバーからOKが出て、安堵。
女性のドライバーだった。ありがたい…

9:30
念のため破水したときのために、ペットシートを持参してさっと敷いてから乗り込む。
車中での陣痛を心配していたが、なぜかベベが空気を読んで(?)ほとんど痛みを感じることはなく、破水もなかった。
あれは何だったのだろうか。

しかし問題は止まない。
親切な女性ドライバーで、かなり巻きで運転してくれていたのだが、高速道路の出口を逃してしまい行った道を引き返したりと、結局一時間弱かかった。
痛みがあまりなかったおかげで、何度も謝ってくれるドライバーに「大丈夫ですよ」と笑顔で余裕の返答ができた。
どうにかUber上で代金をゼロにできないかとドライバーが色々言ってくれたものの、私たちにとっては乗せてくれるだけで感謝だった。

でも本当に、あの車の中にいるときだけ痛みが引いたのは不思議だった。


|まさかのモルヒネ投与

10:30
山あり谷ありでやっと病院へ到着。
車を降りた瞬間、またいつもの陣痛が戻り、歩けなくなるほどだった。
なんとか産婦人科に着き、待合室ではイスにも座れないほどの激痛が。

「やれやれ…」顔の助産師に案内され、まずはモニタリング(NST)。
しかし腰が痛いのでモニタリングの簡易ベッドに横になるのもつらい。
思わず叫び声が出てしまうほど痛く、これは病院側も帰すことができないだろうというレベルでアピール(いや実際に痛いのよ?)。

内診、子宮口2センチ足らず。
え…?

ヤバい、これは帰されるかもしれない。
全力で痛がった(いや実際ホントに痛いのよ!)。

甘苦い薬を溶かした炭酸水を飲めと言われ、苦すぎて吐きそうだったが何とか飲む。
そして舌の下で溶かす薬も二錠。
まったく良くなる気配はない。

12:00
その後、分娩前室に通された。
バランスボールやウォーターベッドが完備された部屋で、分娩前に待機する場所のようだ。

ウォーターベッドは、中にお湯が入ったポヨポヨした部分と硬い部分に分かれたベッドになっており、あたたかい部分で横になって痛みを緩和してね、とのこと。
腰のために湯たんぽまで用意してくれた。

だが、横になったまま腰痛と陣痛に耐えることができなくなっていたので、ウォーターベッドは効果がなかった。

痛みでのたうち回っていたところ、助産師が来た。
「2,3時間のあいだ、痛みを緩和するものを投与することはできるけど、使いますか?
麻酔ほどの効果はないものの、少しは休めるわ。赤ちゃんの心拍が少し下がるリスクがあるので、一度だけしか使えないのだけど。」

これがモルヒネだった。

「やれやれ」顔の助産師もやさしい人で、私が自然分娩を希望しているからか、気を遣って無痛の麻酔ではない緩和療法を提案してくれていた。

カテーテルを入れ、枕やシーツをセットしてもらい、横になる。
「ふわふわする感覚で、痛みから少し距離を置けるような感じになると思う。数時間は眠って休んでね。」

正直、痛みはそこまでよくならなかったが、小一時間眠りにつけたので体力が少し回復した。

16:00
モルヒネの効果が薄まり、またつらい痛みが戻ってきた。

助産師
「入院しますか?」

キター
♪───O(≧∇≦)O────♪

このときだけはるんるん気分で歩けたが、痛いアピールを忘れずに歩いた。


|「麻酔(無痛)分娩にします!」

入院部屋に到着。
角部屋の103号室は広く、快適に過ごせそうな空間だった。
夫も泊まれる入院部屋については、この後詳しく書くとする。

テンションが上がり、このときだけは写真や動画を撮る余裕があった。

しかしすぐに強い陣痛&腰の痛みが襲う。
ピークに差し掛かり、部屋の中を「もうムリ…!」と叫びながら、バランスボールに座ったり、床に四つん這いになったり、もう呼吸法とか言ってられないほどにパニックだった。

夫にナースコールをしてもらい、分娩前室に来てと言われた。
長い距離を歩かなければならず、陣痛の合間のインターバルで小走りして向かう。
この姿を目撃されていたら、それはもう滑稽でしかなかったと思う。

19:00
先ほどモルヒネ療法をした分娩前室に到着。

「痛い…痛い…」とパニックな私に、夜勤で交代した新たな助産師が子どもをなだめるように、「あらあら、呼吸をして〜」と言ってくれる。
あれだけ呼吸法のシミュレーションしていたのに、人間パニックになると忘れてしまうものだ。

モニタリング(NST)をして、内診。
子宮口5センチ…

え、まだ5センチ…
全開までまだ半分なの…

もームリ。もームリ。もームリ。…
話題の退職代行会社の名前が頭の中をぐるぐる回る。

夫とは、痛みのピークに到達したら麻酔分娩を頼もうと話していた。
助産師に「どうする?麻酔する?」と聞かれたので、「Oui, s’il vous plais !!!!お願いします!」の一言だった。


|痛みゼロ、15分で終わった分娩

20:00
分娩室へ移動。いよいよだ。

麻酔分娩仕様に着替え、15分ほどで麻酔科医が登場。初めて見るドクターだったが、冷静で信頼できそうな印象だった。
注意点を説明され、腰に2度注射。このドクターがうまいのか、注射は全く痛くなかった。

わたしは後ろを向いていたのでわからなかったが、夫が見たところによると、注射針がゴン太で恐ろしかったとのこと…
見なくてよかった。

そして、注射して数分後には、ウソのように陣痛や腰の痛みすべてがすーっと引いていくのだった…

こ、これは、パラダイスや…
・゜゚・:.。..。.:・'(゚▽゚)’・:.。. .。.:・゜゚・

分娩室の天井には、桜の写真が・・・!

そこから3時間ほどモニタリング&経過観察し、副作用もなし。
手元のボタンで麻酔を追加できるから、痛くなったら追加してとのことで、少し腰の痛みが出てきたタイミングで追加した。

陣痛のタイミングで子宮収縮しているのと、赤ちゃんの頭が下に降りてきているのだけは何となく感じる。

24:00
担当の産婦人科医が登場。
急に生まれる安心感…

いつも診療所で診察を受けているドクターで、ベテランのおじさん先生だ。
穏やかかつ冷静な人で、昼間に一度病院へ来て「今夜かもしれないね、また後で」と夫と話したらしい。

さすがのタイミングすぎる…

そして内診してもらうと、
まさかの子宮口全開!!!

♪───O(≧∇≦)O────♪

麻酔分娩は陣痛にブレーキをかけるような働きがあるのでお産がスムーズに進まないことが多いと聞いていたのだが、うれしすぎる〜〜

「分娩の準備をするね」とドクター。
助産師がバタバタといろんな用意をし始めた。
そのあいだ、ドクターがいきみ方についての説明をしてくれる。
陣痛のタイミングと同時に、息を大きく吸って止めて、とにかくお尻に力を入れて踏ん張ること。
右足は夫に、左足は助産師に支えてもらいながら、自分でも足を掴んで下に押し出す感覚で。

24:50
「さぁ、次の陣痛が来たタイミングで始めよう」
「吸って〜、息止めて!プッセ!(いきんで!)!プッセ!プッセ!プッセ!」

なんだろう、このいきむ時のチーム感。
その場にいる全員がサポーターとなり、私のプレーを応援してくれるようだ。

最初のプッセで、早くも赤ちゃんの髪の毛が出てきた!
私は踏ん張るのがうまいらしく、褒められる。
なんだか嬉しい。
こんな余裕を持てるのは麻酔のおかげだろうけど。

25:06
出産。
一度の陣痛につき3プッシュ、5度目の陣痛くらいで生まれてきてくれた!

夫がへその緒を切らされる。(!)

その後の胎盤の取り出し、会陰縫合(少し裂けたくらいだった)まで一貫して痛みゼロ、自力でつるんと出てきてくれた。

赤ちゃんが出てきた瞬間、自分て感動して泣くのかな?どういう感情なんだろう?と思っていたけど、なんだか笑ってしまった。

エコーでもずっと顔を見せてくれなかった我が子。元気な姿で出てきてくれるのか?出産直前まで不安は少なからずあった。

生まれた直後、カンガルーケアで私の胸に乗せられた我が子はおとなしく、お腹の中にいたときのように自分のペースでリラックスしていた。

そんなようすを見て、なんだかふふっと笑えてきたのである。

産後2時間は経過観察でそのまま待機すると思うのだが、その日私たちよりも先に生んだ人の準備で3時間ほどカンガルーケアの状態で待たなければならなかった。

4時ごろ、私は車イスで、夫と赤ちゃんと入院部屋に移動し、3人で爆睡したのだった。


|夫と一緒に親子完全同室の入院部屋

フランスでは、パートナーと一緒に泊まれる個室に入院するのが一般的だ。
この病院では、ベッド奥の小さなソファがソファベッドになり寝れるようになっている。

私が産院に選んだ私立病院では、ホテルっぽい部屋と食事をセールスポイントとして、3つのプランがあり、私はおそらく一番人気であろう真ん中のプランにしていた。
夫と一緒に泊まれる上、夫の分の朝夕食付きプランにした。部屋には冷蔵庫やデスクがあり、Wi-Fi完備で仕事もできる。

これで入院費用は1日199€。
赤ちゃんに何も問題がなければ4泊5日の入院期間になる。
公立病院の場合はもう少し早い退院になる病院もあるかもしれない。

気になる食事はこんな感じ。
左上から朝食(共通)、右上が昼食、下がふたり分の夕食。

ザ・フランス的なメニューではあるのだが、病院食にしてはとても美味しかった…!
私と夫の分の夕食が違うメニューなのも、毎回楽しみが増えてうれしかった。

やっぱり食事って大事だなぁ〜と痛感した。

またフランスでは、基本的に赤ちゃんを預かってはくれない。
親子同室は大変だが、パートナーが一緒に泊まってくれるので助かるし、家に帰ってふたりで育児をしていく予行演習的なものが入院中にできるのでいい面もあると思う。


こんな流れで、無事、異国の地フランスでの出産を終えた。

皆それぞれの出産ストーリーがあると思うが、皆命懸けで生んでいることに変わりなく、世界中のママさんへのリスペクトがさらに深まった。

何より自分の母親には本当に感謝だ。

そして最後に、常に仏日・日仏同時通訳をこなし、妊娠中から、出産時は私の腰をさすり続け、産後の身の回りのサポートまでをこなしてくれている夫に、感謝の言葉を伝えたい。
本当にありがとう。

これから始まる、というか、すでに始まっている大変な子育てを一緒に楽しんでいきたいと思う。

最後まで読んでくださり、Merci beaucoup~!

コメントを残す